近年は医学部受験に関する様々な情報が発信されるようになり、予備校や塾に通わなくとも、様々な情報が入手可能となっています。
一方で、特に私立医学部の中堅~下位校を受験する場合、専門家が発信する情報でも正しいとは限らない情報も少なくありません。
今回は、医学部受験の嘘として、主に私立医学部の中堅~下位校を受ける人をターゲットに、一般的に広く発信されている情報でも実際は注意が必要なものを紹介します。
1. 連続試験は最大3日、連戦は避ける
私立医学部受験では、試験日程が過密になり、年によっては1週間以上試験日が続くことも珍しくありません。
一方で、医学部受験の専門家による情報でも、「連続試験は多くとも3日まで」や、「休日日をどこにするかが重要」などと発信しているものもあります。
もちろん、これは一面では正解なのですが、主には、上位校や国公立との併願者をターゲットにした情報です。
私立専願者であり、また、医学部であれば学校には余りこだわらないと言う私立中堅~下位校までを志望校とする層にとっては、危険な情報です。
結論から言えば、受験料を払えるのであれば、こういう層は連戦になったとしても、可能な限り多く受験することが正解となる場合が多いです。
その理由については長くなるため、別記事で詳しく解説します。
2. 合格最低点で難易度を判別
医学部受験の専門家を名乗るYouTubeチャンネルで、「試験が難しい私立医学部ランキング」が紹介されていたことがありました。
このランキングの選択基準が、「合格最低点が低い大学のランキング」となっていました。
YouTubeでは時間の関係もあることからか、「専門家」を名乗る人が発信する情報であっても、このようなうわべの内容だけを見ても安易に発信している情報も、珍しくはありません。
私立医学部受験において、合格最低点が低い=問題が難しい、というのは半分正しく、半分間違っていると言えます。
上記のランキングで紹介されていた大学の中には、「東京慈恵会医科大学」と「東京女子医科大学」が含まれていました。
この2つの大学の場合では、同じ合格最低点が低いでも、その意味合いが違うことは医学部受験の専門家であれば誰もが知っている情報です。ただ上記のチャンネルの中では、単に合格最低点が低いから問題が難しい、という意味合いでしか紹介されていませんでした。
ではこの2つの大学を例に説明をします。まず、そもそもこの2つの大学では受験者層が全く異なります。
慈恵会に関しては、私立医学部でも御三家と言われる、いわゆるトップ層に位置します。そのため、ここでの最低点が低いというのは、確かに問題が難しいから合格最低点が低くなっています。
一方で女子医に関しては、現在は偏差値帯で言えば私立医学部の中でも最も下位層に位置しています。学費が高いことも相まって、受験者層はどうしても、偏差値帯の下位層に限られてしまいます。
ただ女子医は2021年度に学費を値上げする前までは、偏差値帯から見ても、私立医学部の中堅校に位置していました。
実は女子医の合格最低点が大きく下がったのは、学費を値上げした後で、それに合わせて偏差値帯が下がったためでもあるのです。
つまり女子医に関しては、偏差値が下がったにもかかわらず、以前の難易度の試験を続けていることから、合格最低点が低くなっている、と言えます。
もちろん受験する層にとっては、問題は難しいかもしれません。ただ中堅層から見れば、ある意味標準的な問題とも言えるのです。
私立医学部と一口にいっても、偏差値帯はかなり幅があるため、一概に合格最低点が低い=問題が難しい、と言うわけではないのです。
その学校の受験者層に取っては難しい問題であっても、全体から見ればそうでは無い、と言える学校もあります。
ただこのような情報を知らず、単に合格最低点だけで判断して難易度を判断してしまうのは危険です。
3. 偏差値が低い学校は問題が簡単
2の逆とも言えるのですが、偏差値が低い大学だからといって、試験問題が簡単とは限らないのです。
これは受験をするつもりが無く練習で過去問を解く場合などにも、注意する必要があります。
偏差値帯が低い学校の問題が解けなかった、ということで、実力が無いと思ってしまうこともあります。またこの偏差値の大学の問題でこれだけしか得点がとれなかった、ということで自信を無くしてしまうこともあるかもしれません。
これは、気を付けなければいけません。
私立大学の試験問題は学校がそれぞれ個別に作るため、偏差値上位校だから問題が難しい、偏差値下位校だから問題が簡単、というわけでもないのです。
前述の女子医のように、偏差値帯にしては問題が難しい学校もあります。また北里大学の数学のように、特定の科目だけ、学校の偏差値帯に比べると難易度が高いという学校もあります。
そういった学校を志望する場合は、過去問が解けなかったからと言って合格の実力が無い、と言うわけではないケースもあるため試験勉強でも注意が必要です。
4.学校の難易度は偏差値順
一般的な大学受験においては、偏差値の高低を基準に「チャレンジ校」「本命校」「実力校」「滑り止め」といった受験校を決めていきます。
ただ医学部受験においては、学校の難易度は必ずしも偏差値順にはなりません。
もちろん、偏差値はある程度の目安とはなります。偏差値上位校については、難易度が高いことは間違いありません。
ただ特に、河合塾の偏差値で60~65のグループにある学校に関しては、偏差値に差があったとしても、実際の入試でどこに受かるかは、その年の問題の相性次第とも言えます。
また偏差値がより高い67.5にある学校に合格する人でも、62.5にある学校に不合格になる事もよくあることです。
つまりこの辺りの偏差値帯の学校に関しては、偏差値を基準にするよりも、過去問との相性や、試験の配点の方がより重要になってきたりします。
医学部受験においては、単純に偏差値だけを見て「本命校」や「滑り止め」を決めることは危険です。
特に、自分の偏差値が河合塾の全統模試で60~65ぐらいの人については、滑り止めを設定することは難しいため、出来ることなら、可能な限り多くの学校を受験する方がより合格には近づけます。
5. 現役生は最後に伸びる
現役生は最後に伸びる、特に夏以降に伸びる、という意見は医学部受験に限らず、大学受験ではよく聞く話です。
この話自体は多くの人に当てはまる正解です。
ただ、医学部受験、特に私立医学部受験においては注意が必要な話です。
浪人生のライバルが多い
私立医学部受験において他の学部との大きな違いが、浪人生が多い、ということです。
中堅校以下の私立医学部では、ほとんどの学校が入学者の割合で現役生より浪人生が多くなります。
またこれらの学校では、「推薦」で現役生を確保している学校も少なくないため、一般受験に限ってみれば、実際の入学者の割合以上に浪人生が多くなります。
つまり現役生が最後に伸びたとしても、それ以上にライバルとなる浪人生が前を走っている場合もあるのです。
医学部でも特に偏差値が高い学校に関しては、現役率が高いです。
医学部受験層はかなり幅が広いです。そのうちの上位生は浪人生に打ち勝ち、上位校へと合格していきます。
一方で、偏差値帯が中位~下位の層は浪人生のライバルとの戦いに巻き込まれ、伸びが足りなくなります。
つまり現役生は最後に確かに伸びるのですが、その伸びでは足りない場合があります。
そのため特に現役生については、受験校選びについては慎重になる必要があります。
6. 偏差値●●からの逆転合格
塾や予備校の宣伝文句によく使われるのが「逆転合格」という言葉です。
「偏差値40からの医学部逆転合格」といったようなフレーズは、見たことがあるのではないでしょうか。
この「逆転合格」という言葉にも注意が必要です。
模試では半数以上がE判定、A判定は1割もいない
河合塾の全統模試や駿台の駿台模試など、受験生が受ける模試では、A、B、C、D、Eと合格の確率によって判定が出ます。
ここで注意が必要なのは、5つの判定にそれぞれ20%の人が割り振られる、ということは無く、一般的には半数以上の人がE判定になるということです。
またA判定ととなる人は、5%~10%程度しかいないと言われています。
また中堅~下位の医学部に関しては、模試でA判定を取るような人は実際には受験しないか、受験としたとしてもより上位校に進学するため入学はしない、ということがほとんどです。
つまり中堅~下位の医学部に関しては、模試の成績を基準にすれば逆転合格が普通とも言えるのです。
低い偏差値から上げていくのは普通
偏差値●●からの逆転合格、という宣伝文句の時、その偏差値がいつの偏差値か、ということもポイントです。
例えば、高校1~2年生の入塾時に偏差値40の人が、高校3年生の受験時には偏差値65になっていた、というのは、ある意味普通に勉強した結果、とも言えます。
実は模試での偏差値は、ある程度までであればコツコツと勉強することで上がっていくものです。65~70以上など、ある程度上がりきると、そこから上がるのが難しくなります。
医学部合格に必要な偏差値については、一般的には河合塾の全統模試で60が一つの目安となります。そしてこの60までであれば、積み上げの勉強で伸ばせる数字でもあります。
つまり偏差値●●からの逆転合格というのは、逆転ではなく勉強をした当然の結果、かもしれないのです。
また偏差値と言っても、駿台模試と全統模試では同じ学力の人でも違う数字となります。70を超えるような高偏差値帯であれば差はあまりありませんが、それ未満では、全統模試の方が5程度高くなってきます。
宣伝文句で使われている偏差値が、どの模試の偏差値か、言うことも重要です。偏差値が低く出るような模試の数字を使って、わざと低い偏差値から合格したと見せかけている場合もあるかもしれません。
特殊な例ではないか
医学部受験においては、必ずしも偏差値通りの結果になるとは限りません。模試の判定では合格が難しい学校でも、実際の試験では合格する人も一定数は存在します。
ただそれは、その人なりの特殊な条件があったりします。例えば全体の偏差値は低いものの特定の科目が非常に得意で、それに合わせた学校を受験した、ということは考えられます。
この例のケースですと、英語が非常に得意であれば、金沢医科大学の後期試験は学科が英語と数学だけのため、合格できる可能性は高くなります(2次にも配点があるため最終合格まで可能かは分かりませんが、少なくとも1次試験は合格の可能性が高まります)。
このようなケースだけではありませんが、例外的な人はいつでも存在します。ただその人が合格出来たのは、その人だけの条件である可能性が高いというのも事実です。
つまり、多くの人には当てはまらない固有のケースを使い、逆転合格の例としている場合もある、ということです。
医学部受験では、多くが順当合格である
塾や予備校は、宣伝文句として「逆転合格」という言葉をよく使います。
ただ医学部受験においては、合格した人の多くは、地道に勉強と努力を重ねた結果による順当合格である、ということは覚えておいた方が良いです。
7. 「生物が有利」「物理が有利」
医学部受験でよく聞かれる質問の1つが、「生物と物理、どちらが有利ですか?」というものです。
以前は物理が有利だったが、近年は生物が有利だ、といった声も聞かれます。
確かに、特定の大学に関しては、明らかにいずれかの科目が有利という傾向はあります。ただそれは、ごく一部の学校に関してです。
各大学とも、試験において明確にいずれかを有利に作成していることはありません。それでも、実際は年によっても差異があり、それが「生物が有利だった」「物理が有利だった」という声に繋がるのです。
生物、物理のいずれの科目に関しても、一般的に「メリット」「デメリット」があり、それは既に多くのサイトでまとめられています。
医学部試験においてはいずれかが明確に有利ということは、基本的にはありません。そのため、自分の特性に合わせて選択すべき、というのが答えではあります。
ただ注意すべき点として、国立大学の医学部では、群馬大学や北海道大学のように、物理を選択していないと受験できない学校も一部にあることは事前に知っておいた方が良いでしょう。
これらの学校が志望校に入る可能性があるのであれば、必然的に物理を選択することとなります。
8. 面接・小論文が重要
私立医学部の受験においては、1次試験の学力試験に合格した後、2次試験で面接と小論文(一部の学校では1次試験時に小論文を同時に実施、もしくは、小論文を実施しない学校もあり)があります。
そのため、2次試験に合格するためには「面接」と「小論文」が重要であると考えている人も多いです。また医学部専門予備校でも「面接」や「小論文」の専門講座が多く提供されているため、この2つが、英語や数学、理科といった科目と同様の重要度を持つと考える人もいます。
ただ実際に合格を決めるのは、ほとんどの場合が1次試験の点数です。
1次試験と2次試験に分かれてはいますが、当然のことながら、1次試験の得点はそのまま2次試験の合否にも利用されます。
私立医学部に関して言えば、面接・小論文の配点を公開している学校は少数派であり、多くの学校では配点すら非公表となっています。
面接・小論文は不適格者を判別する試験
医学部受験において、面接・小論文は、合格する人を決めるというよりは、不適格者を判別するために用いられている側面が強いです。入試要項の中にも、面接の結果によっては1次試験の点数にかかわらず不合格になる、と明記されている学校もあります。
ただ逆に言えば、面接や小論文により1次試験の結果を逆転することは、多くの学校では難しいということでもあります。
多くは1次試験の点数で合否が分かれる
不合格者の感想として、「面接落ちした」という声を聞くことも多いかもしれませんが、このように話している人の大多数は、実際には1次試験の点数が足りていなかったためと言えます。
もちろん面接や小論文も一定の練習は必要です。ただそれは、あくまで一定程度にとどめておくべきであり、医学部受験でも大切なのは、学科試験の学力を可能な限り高めることです。
9. 医師になれない学校ランキング
YouTubeでは、「医師になれない大学ランキング」というような動画もあります。
これは動画によって指標も異なりますが、よく使われるのは、「医師国家試験」の合格率です。
また「6年間での卒業率」と「医師国家試験の合格率」から、実際に6年間でどの程度の学生が医師になれるのか、という割合で順位付けしたものもあります。例えばこの数値が80%の大学は、100人入学すれば、6年間で80人が医者になれる、という意味です。
後者のパターンでは、トップクラスの大学では95%程度の数字を記録する一方、下位の大学ですと60%台となっています。
この数字だけを見ると、下位の学校では3割以上が実際には6年間で医者になれない、と思うかもしれません。
このランキングや数値は確かに学校を選ぶ一つの指標にはなります。ただこのランキングにも注意点が必要です。
年によって大きな変動がある
最上位層や最下位層は確かに毎年同じような学校が並びますが、それ以外に関しては、年によって大きな変動があります。
つまり、単年だの数字を見てこの学校は医師になりづらい、と判断するのは危険ということです。たまたまその学年に何らかの問題があった可能性もあります。
医学部は、卒業に少なくとも6年が必要です。この6年というのは決して短くありません。
医学部のカリキュラムは短いスパンで細かく調節されており、また偏差値の変動も、他学部に比べれば頻繁に起きます。
6年前の入学者のデータと、受験する年のデータでは、学校の状況が大きく変わっていることもあります。
単年のデータだけで判断するのでは無く、少なくとも3~4年程度は継続してデータを確認する必要があります。
仮面浪人や休学浪人の存在
私立医学部には、実は仮面浪人や休学浪人も一定数います。特に中堅付近の学校には多いように思われます。
私立の医学部に通うのにそんな人がいるのか、と思う人もいるかも知れませんが、一定数存在するのは事実です。
中堅~下位の医学部に通う人であっても、実はより上位の私立や国公立とは数点差で不合格になっていた人もいます。
そういった仮面浪人・休学浪人をする人たちは、数字上は留年者に含まれているるように見えるのですが、実際は留年では無く、1年生で学校を辞めてしまっている人たちなのです。
学力にかなり幅がある
医学部の合格者でも、偏差値の上位校と下位校では、かなりの差があることは事実です。最上位層と最下位層では、学校の偏差値を見ても、20近い差があります。
ただ、そういった学生が最後には同じ医師国家試験を受けて医師になるのです。
そう考えると、偏差値で下位層の大学では、上位層の大学の学生に追いつくため、それなりの学習が必要なことは想像に難くありません。
特に偏差値で中堅~下位の私立医学部では、国公立大学であるような教養科目が少なく、1年生から医学の専門科目の勉強時間を多くとる大学も少なくありません。
例えば、数学や第二外国語といった科目が無く、1年生時から生理学や解剖学の時間が多く取られていたりします。こういったカリキュラムの前倒しにより、4年生時のCBTや、6年生時の医師国家試験に対策する時間を多く作っているのです。
つまり、元々学力では差があるため、そういった人たちでも上位層に追いつけるように、学校がサポートするカリキュラムを組んでいるとも言えます。それにより、最終的な医師国家試験では、入学時の偏差値に関わらなく、高い合格率を出していたりします。
ただ本当に学力が下位層にとっては、1~2年生の時点での負担が大きくなり、低学年で多くの留年が発生する要因ともなってはいます。
少なくとも7割は医者になる
入学時の学力に大きく差があるにもかかわらず、結果として医師になれないランキングの下位の学校であっても、7割は医師となります。
そして残りの3割に関して言えば、その多くがある意味順当に留年や退学になっているとも言えます。
医者になれない学校ランキングを1つの参考資料とするのは良いですが、極端に気にしすぎる必要も無いと言えます。
10. YouTuebやブログでの情報
最近はYouTubeやブログで医学部情報を発信する人も増えており、有益名情報も多数あります。
ただ一方で、その情報が本当に正しいのかは注意が必要なものもあります。
個人の体験に基づいた情報
YouTubeで情報を発信している医学生や医学部受験経験者の情報は、あくまでその人個人の体験に基づいた情報、ということです。
例えば、東大生の勉強方法が必ずしも大多数にとって有益とは限らないのと同様、個人の体験というのは、参考にはなっても、それだけを信頼しすぎるというのは危険です。
医学部受験と言っても、国立か私立かで大きな違いがあり、また、私立でも上位層と下位層ではここにも大きな違いがあるのです。
国立医学部に通っていた人は、私立医学部の情報を余り知らないにも関わらず、医学部全般に関して専門家のように発信している人も少なくありません。ただそのような情報の中には、誤った情報も含まれているのです。
少なくとも、その発信者がどの様なバックグラウンドを持って発信しているかは、予め確認してから情報を得た方が良いと言えます。
上位層による情報
これは主に医学部を専門にする塾や予備校の発信に多いのですが、発信者自身が国立や私立の偏差値上位校出身である場合です。塾や予備校の発信であれば、ある程度「学歴」が信頼性にも影響するため、仕方が無いとは言えます。
ただこれは、発信情報にかなりの偏りが出る場合があるため注意も必要です。
例えば、先に書いたように医学部受験において「目標校」や「安全校」というのは、偏差値が一定程度以上の人にのみ当てはまることであり、中堅~下位校を目指す層には当てはまらないことが多いです。
にも関わらず、YouTubeでの発信で、医学部受験においてもそのような考え方が当たり前のように発信している、「医学部受験の専門家」と名乗る人達もいるのです。
発信者自身は、医科歯科(現東京科学大)や慶應といったかなりの上位校出身であつたりするため、そのような考え方が当てはまりますが、そのような人が発信する情報は、医学部受験の多くの層には当てはまらない情報であることには注意が必要です。
もちろん、その発信者自身が塾や予備校で実際に教えていれば、教え子達は恐らく医学部の中堅~下位校に進学する人たちも多いはずです。にも関わらず、そのような情報をカバーしていないということは、彼らの実際がどうであるかは想像に難くないかとは思います。
専門家でも薄い情報・間違った情報
先に述べた2つにも繋がるのですが、「医学部受験の専門家」を名乗って発信しているにもかかわらず、非常に内容が薄いものもあります。
実際にそのような情報に触れると、もっと切り込んだ内容を知りたいのに・・・という感想を抱くことも少なくありません。専門家の情報だからといって、必ずしも専門的な情報である、とは限らないのです。
また予備校や塾の場合は、実際に通う受講生と同じ情報を一般向けでは発信できません。特に個別の学校名を挙げての発信には大きなリスクもあるため、情報も限定的になりがちです。
一方で、このような薄い情報とは逆に、非常に細かい分析情報を発信している医専などもあります。
もちろん有益な情報もあるのですが、そのような一見詳しそうな情報でも、実は不正確な情報というのも紛れているのです。
例えば、とある医学部専門予備校のXでの投稿では、ある私立医学部が発表する情報を元に、その学校の各学年の「留年者数」の推移をまとめていた投稿がありました。
ただ実際にその学校の元資料を見てみると、その予備校が留年者数として取り扱っていた数字(実際には「最低在学年限超過学生数」)については、「就業年限を超えて在籍する学生。医学部生であれば在籍7年目の学生」という注釈が書かれていたのです。
つまり、在籍7年目になる学生のみの数であるにもかかわらず、その医専のXでは、あたかもその医学部全体の留年者数であるかのように発信していたのです。
またこの医専では、「医学部の女子比率ランキング」というような投稿もしていました。各医学部の女子比率を高い順にランキング化していたのですが、各学校が発表する実際の数字を見ると、それぞれ基準とする数値が違いました。
例えば、東海大学は募集定員の半分ほどの「一般選抜入学者」の女子比率の数値を発表していた一方、北里大学は、実際の入学者の約2倍となる「総合格者数」における女子比率の数値を発表していました。
これは、各大学毎に発表する基準違うためある意味仕方が無いのですが、このように基準が違う数字は通常は同じランキングにしてはいけません。本来はすべきではありませんが、それでも参考資料として公開するなら、少なくとも注釈は入れるべきでしょう。
この医専は、何の注釈も無く公開しています。これは、意図的にしているのか、単に資料の読み込み不足なのかは分かりません。ただ注意すべきは、一見詳しく分析しているような投稿であっても、必ずしも正しい情報とは限らない、ということです。
嘘に騙されない冷静な判断を
医学部受験は、情報戦でもあります。毎年変わる入試制度を理解するだけでも大変です。
そのため保護者の助けは、他学部の受験以上に大きな力となります。
一方で、「受験の常識」と言われることが通じないこともあります。また専門家を名乗る人でも、表面的な情報しか知らない人も珍しくありません。
大切なことは、焦って色々な情報に飛びついたり、簡単に信じ込んだりせず、冷静な判断で分析することです。
受験生本人には勉強の中での大きなプレッシャーもあります。それに合わせて保護者も焦ってしまっては行けません。保護者こそ、冷静な目を常に持つように心がけたいものです。
