医学部受験では浪人は珍しくありません。もちろん1~2浪までが多数ではありますが、3浪以上するいわゆる「多浪」の人も一定数存在します。
医学部受験は難易度が高いのだから多浪するのも仕方が無い、と考える人もいるかも知れません。
他の学部と比べた場合、医学部の難易度が高いのは事実なのですが、多浪となるには特定の理由も存在します。
この記事では、医学部受験でなぜ多浪となってしまうのか、また多浪する人の特徴や共通点について解説します。
この点を気を付けることで、多浪へのリスクは大きく減らすことが出来ます。
1. 国公立だけを目指している
医学部受験の多浪の理由として多いのが、「国公立医学部だけ」を目指している人です。もしくは、国公立に加えて私立を受験したとしても、(学費が安い)上位校1~2校のみ、というパターンです。
医学部受験では、国公立を第1志望とする人はもちろん多くいます。ただ多浪してしまう人は、主に学費の理由で、私立を受験出来ないパターンの人が多数です。
国公立のみの受験ですと、1年で受けられる受験校は、多くの場合は前期の1回のみとなり、後期を受けたとしても2校(2回)、推薦を加えても最大3校(3回)です。
医学部受験では偏差値通りの結果とならないことも多くあります。たった1~2回の受験では実力通りの結果が発揮出来ないこともあります。
さらに国公立受験には、共通テストである程度の得点を取っている必要もあります。共通テストで失敗すれば、本番試験を前にして、その年の受験が事実上終了としてしまうケースもあります。
また学力試験に加えて、面接や小論文もある医学部受験では、必ずしも学力通りの結果が反映されないこともあります。
このように、国公立だけに志望先を絞ってしまうと、非常にリスクの高い受験となってしまうのです。その結果、「医学部」には合格出来る学力が十分あるにもかかわらず、何年も浪人をしてしまう人がいるのです。
加えて後述しますが、国公立受験では本番経験が積めない、というリスクも出てきます。
2. 成績が圧倒的に足りない
1のケースは、学力が十分あるにもかかわらず多浪となる人が発生する場合ですが、2のケースは、それとは逆と言えるパターンです。
現役時代には医学部に合格するためには学力が圧倒的に足りなかった人が、何年もかかって合格レベルの学力到達を目指すというケースです。
合格レベルの学力に到達出来れば良いですが、到達出来ないままに浪人を重ねる、もしくは、医学部受験を諦めてしまうケースも多くあります。
このケースの場合は、浪人中に学力向上に励まず、勉強をサボってしまう人も少なくありません。
圧倒的に学力が足りないのに医学部を目指す理由には、親が医者であるなど、本人では無く周りの事情で目指しているパターンが多くあります。
親の経済力があるため多浪が可能、という事情もあります。一方で、周囲から医学部以外の受験を認められず、本人の意欲が上がらないままにダラダラ続けている、というケースもあります。
3. 勉強をしない
2のパターンの人にも多く見られがちなのですが、浪人をしても勉強をしない人、というのも一定数います。
医学部以外の学部を目指す場合でも、浪人をして勉強するというのは非常に精神力がいることです。
浪人しても学力が上がるのは3割程度しかいない、という話も良くされます。
これは医学部受験に限った話では無いのですが、浪人をしたとしても、全ての人が勉強だけを死に物狂いでする、と言うわけでは無いのです。
それどころから、高校生の現役時代よりも自由が増える分、勉強から離れてしまう人も珍しくありません。
また医学部受験では多浪生の話が珍しくないため、医学部専門予備校に通って2~3浪ぐらいすれば、自分も自然に受かるんだろうと、根拠無く考えている人も存在します。
学力は、医学部専門予備校に通ったから向上するのでは無く、本人が継続して勉強することによって向上するのです。
多浪をしてしまう人には、根本的に絶対的な勉強量が不足している人も珍しくありません。
4. 志望校を限定する
1のケースにも似ているのですが、志望校を「限定する」人も、多浪になりやすいです。
私立の場合で言えば御三家以上しか受けない、国公立で言えば、旧帝以上しか受けない、といったようなパターンです。
十分な学力がある人や、どうしても憧れている学校がある現役生、といったパターンであれば、特定の志望校に絞って勉強をしても良いかも知れません。
そうではなく、自分のプライドや見栄、周囲の意見などに縛られて受験校を絞ってしまうと、多浪の危険性が高まります。
こういう人は十分な学力が無いにも関わらず、上位校だけを目指し、結果として浪人回数を重ねることとなります。
また本人にこだわりが無い場合でも、親の意見により志望校が限定されていることも、医学部受験においては珍しくありません。
医学部受験生、特に私立も選択肢に入れている受験生の場合は、第一志望としている学校はあったとしても、最終的に「医学部」に合格出来れば、学校の名前にこだわらない、という人も少なくないはずです。
最短で医師になりたいというのであれば、どうしても絞らなければならない事情がない限り、可能な限り受験する学校の選択肢は広げておいた方が良いです。
5. 出願校戦略に失敗している
医学部受験においては、出願戦略も非常に重要となります。
国公立志望の医学部受験生の中には、共通テストの1次選抜で複数回足切りにあって多浪しているという人もいます。実際に、現役時と1浪時に連続で足切りにあった、という人の例も知っています。
このような人の場合、特定の学校を志望校としているのかというと、必ずしもそうではありません。単なる情報不足により、足切りとなっていることも珍しくないのです。
私立の出願においても、偏差値通りに行かないのが医学部受験です。実際の合格者でも、偏差値では合格した学校より低い学校で不合格になっている人は多くいます。
学校毎に試験傾向が大きく異なるため、出願戦略をしっかりと考える必要があるのです。
さらに例えば補欠の繰り上がり状況は、その年の試験日程に大きな影響を受けるなど、年によっても戦略を変える必要があります。
多浪をしてしまう人は、「出願」の時点で既に勝負が付いてしまっていることもあるのです。
なお国公立で足切りにあってしまう場合、受験機会の損失ということも大きなデメリットとなります。
国公立受験の場合、受験機会はどうしても少なくなります。前期で足きりにあうと、そこで受験が終了、というケースも珍しくありません。これが私立受験であれば、1年に10校近く受けることも珍しくないのです。
試験というのは、実際に本番を経験することで得られることも多いのです。国公立専願の場合、多浪をしているにも関わらず、実際に本番の試験を受けた回数は数回しか無いというような状況も多いのです。
本番機会の喪失というのはあまり語られることは少ないですが、国公立に受験校を絞った場合の大きなリスクの1つとも言えるでしょう。
6. ケアレスミスが多い
医学部の中には、「正規合格者の最低点」と「(補欠も含めた)全体合格者の最低点」など、詳細にデータを公表している学校もあります。
こういった学校のデータを見てみると、10点の点数範囲に100人以上がいる、という状況が見えてきます。もちろん学校によっても状況違いますが、同じ点数に10人以上人がいるという状況は珍しくありません。
つまり、医学部受験においては「1点」の差が合否を分けるのです。
毎年何校も1次合格をしているのに、2次は合格出来ない、という人がいます。もちろん2次試験の内容で不合格となる場合もありますが、こういう人の場合、1次試験で後何点か足りなかった、というケースが実は少なくないのです。
ではこの「数点」の差がどこで生まれるかというと、答えが分からなかった問題の差ではなく、「計算ミス=ケアレスミス」による差なのです。
医学部受験(特に数学)においては、難しい問題を出す学校もありますが、どちらかと言えば、「短い制限時間」の中で「正確に答えを計算する力」が必要となってきます。
ここで1つのケアレスミスをすると、5点~10点を失ってしまうのです。
ケアレスミスが減らない人の場合、特定の学校でのみミスをするのでは無く、いずれの試験でも、どこかでミスにより失点をしていることが多いのです。この差が結局、多浪へと繋がるのです。
医学部受験においては、「ケアレスミス」は合否を分ける大きなポイントとなってしまいます。
7. 本番に極端に弱い人
本番に極端に弱い人というのも、ごく少数ながらいます。
模試や過去問では良い成績を残すのに、本番の試験ではその実力を発揮出来ない人です。
多くの場合は、精神面の弱さや、緊張感への弱さが影響しています。
本番で極度に緊張してしまう人や、小さな物音が気になりすぎて集中出来ない人などです。
結果として毎回本番の試験時に失敗してしまい、多浪となってしまいます。
こういう人は独力で乗り越えることは難しいため、個別指導の塾など、専門家に相談した方が良いでしょう。
多浪を避けるためには
今回は医学部受験で多浪になる人の特徴を見ました。多浪を避けるためには、ここで挙げたことの逆をすれば良いのです。
具体的には、
- 国公立専願では無く、私立も受験校補に入れる
- 十分な勉強時間を確保する
- 可能な限り志望校の幅(数)は広げる
- 出願戦略をしっかりと立てる
- ケアレスミスを減らす練習をする
- 精神面を鍛える
と言ったことが考えられます。
当たり前のように感じられることも多いかも知れませんが、だからこそ軽んじるのでは無く、日頃の情報収集が重要となります。
特に国公立しか受験出来ないと考えている人は、本当に私立の受験が無理なのかを考えて見ることは重要です。また私立を受験する人の場合も、より学費が高い学校へ志望校の幅を広げることは出来ないか、しっかり考えて見ることが必要です。
浪人回数を重ねてしまうよりは、1年でも早く医学部に入学した方が、結果として金銭面の負担も小さくなった、ということは珍しくありません。
後から結果論で語ることは簡単ですが、出来ることは前もって可能な限り準備することも、医学部受験においては大きなポイントとなってくるのです。